IDCJ | SDGs室

SDGs室ができること

SDGs室が生み出す付加価値

  1. 開発途上国における新規CSR/CSV事業の形成、あるいは既存の活動のレビューに際して、 社会的インパクトの創出までのロジックモデルを検討し、成果指標(KPI)の設定を提案します。
  2. 当該国政府の開発政策やSDGs行動計画と、CSR/CSV事業の関係を整理し、事業の政策の中での位置づけを明確にします。
  3. 成果指標に基づいて、CSR/CSV事業の社会的インパクトを計測し、これを可視化します。
  4. GRIスタンダードに準拠しながら、サステナビリティレポートの中で、企業価値向上につながるCSR/CSV事業の位置づけを整理します。
SDGs_CSV/CSR

途上国でのビジネスチャンス

 日本は世界各地の開発途上国と経済的なつながりが大きく、日本企業も貿易や投資を通じて途上国の市場や産業と深くかかわってきています。 途上国の地域社会を単にビジネスの対象としてみるのではなく、現地の社会・経済的問題の解決に能動的にかかわろうとする試みが増えています。 近年の開発途上国の経済成長は目覚ましいものがありますが、地域社会には成長に取り残されているところも少なくないです。日本企業の技術、 ノウハウがこうした地域の問題解決に向けて、有効に役立つ場面が多々あります。
 現地の社会問題の解決に向けた企業の活動は、CSR(Corporate Social Responsibility)活動と呼ばれています。企業の業務とは関連するものの、 本来業務の一環というよりも、現地社会や日本国内でのブランドイメージの向上のために展開されているケースが多いです。 しかし、企業戦略の大家であるハーバード大学のマイケル・ポーター教授がCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造」という概念を提唱して以来、 従来のCSR活動を本来業務の中に積極的に位置付けるという発想が注目されるようになりました。
 途上国のCSR活動の対象である貧困層は、購買力こそ限られているものの、大きな市場を形成しています。年間所得が3,000ドル以下の人々を 貧困層と見なすと、その総数は約40億人、世界人口の72%を構成します。開発途上国の経済発展により、こうした人々の購買力が高まれば、 いずれは大きな市場になってゆくことが見込めます。このような貧困層の市場はBOP(Base of Pyramid)と名付けられています。 CSVとは、このBOP層の社会・経済問題の解決に取り組み、将来の大きな市場を取り込もうとする事業と考えられます。企業の組織の中でも、 CSR事業部ではなく、経営企画に係るセクションがCSV事業を企画、立案するケースが少なくないです。ESG投資への関心の高まりの中で、 開発途上国における企業の社会面、環境面の事業が、投資家からも積極的に評価されつつあることも、CSV事業の推進の追い風になっていると考えられます。

途上国でのCSV事業の拡大の障害

 開発途上国におけるCSV事業は大きなビジネスチャンスを期待できるものの、実際にはチャンスを十分に活かしきれていないケースが少なくありません。 限定された地域では普及していても、国内全域をカバーするような面的な拡大が実現できていない事業が多々あります。
 たとえば、B to B型のビジネスの場合、当該国での製品やサービスの仕様が、既に欧米企業に有利なように設定されており、 日本企業が新規に参入しにくい状況が出来上がっている場合があります。開発途上国は欧米諸国の植民地であったケースが多く、仕様等の設定に際しては、 旧宗主国である欧米諸国の企業の影響が大きいかったのは必然といえます。日本企業の製品やサービスを広く普及させるためには、 仕様等の見直しを政府に求めることは必要ですが、これは容易なことではありません。
 さらに、B to C型のビジネスの場合、中国企業の安価な製品との競合が見られます。日本企業がCSV事業で供給する製品は、中国製の競合品と比べ、 品質や耐久性の面で優れていると言われます。しかし、価格面では中国製品に勝てず、貧困層が顧客のBOP市場では、その真価が認識されにくい状況にあります。 日本企業が供給する製品の方が、競合品と比較して、社会問題の解決のために効果的であることが明らかであっても、それが広く認識されない限りは、 当該製品の普及には限界があります。日本企業の製品の価値を、何らかのプログラムを通じて、広く周知してもらう必要があります。

SDGsを介したCSV事業の拡大

 開発途上国において、日本企業の製品やサービスを広く普及させてゆくためには、B to B型であっても、B to C型であっても、 行政への働きかけが有効です。たとえば、過去には欧米系の多国籍企業が、保健省の「手洗いプログラム」を通じて、自社の石鹸・洗剤を 市場で普及させたことがありました。しかし、民間企業が自社の製品やサービスを普及させるために、行政側に働きかけるのは容易ではありません。 方法を間違えると、現地政府の公務員に対する贈収賄のような形になってしまいます。現地側から、そうした働きかけがあるケースもあり得ます。
 行政への働きかけをスマートに進めるには、SDGsを使うのが良いと考えられます。SDGsは、開発途上国でも大きなテーマになっており、 目標の達成は政治的に重要な課題です。行政機関は、自らのプログラムがどのようにSDGs達成に結び付くかを示す必要があります。日本企業の製品や サービスが、特定のSDGsのターゲットを達成する上で効率的、効果的であることを実証できれば、あるいは論理的に説明することができれば、 現地の行政機関が強い関心を示すと考えられます。そうすれば現地の行政プログラムを通じて、日本企業の製品やサービスの普及を進めることもあり得ます。 たとえば、日本企業が、自社の衛生器具がSDGsの目標6のターゲット6.2に貢献することを示せば、ターゲット6.2の達成を目指している現地政府の関心を 集めることは必至です。公的な保健衛生プログラムの中にその衛生器具の活用を含めることができれば、全国で当該製品が普及することが見込まれます。
 SDGsは先進国、途上国双方が、さらに政府と民間セクターの双方が共通して取り組む課題です。すなわり、SDGsはそれぞれの「共通言語」として使われます。 日本企業が自らの製品やサービスの効果をアピールする上で、SDGsは恰好のツールとなります。

SDGs

ODA官民連携プログラムの活用

 また、現地政府への働きかけは、日本企業が単独で行うよりも、日本政府のODA(政府開発援助)のスキームの中で進めるほうが効果的です。 国際協力機構(JICA)には、開発途上国における日本企業のビジネスを促進するための、官民連携型プログラムがいくつかあります。こうしたプログラムを 活用して、現地政府の行政機関をカウンタパートとして参画を促すできれば、ODA事業の実施を通じて日本企業の製品やサービスの価値を現地側に認識して もらうことできます。
 例えば、過去に日本の某医療機器メーカーが開発途上国で、ある医療技術の普及を図ろうとしたことがありました。この技術は日本では広く使われ、 効果が立証されていますが、当該国では普及しておらず、医療機関に受け入れてもらうことが困難でした。そこで、当該メーカーはODAのプログラムを活用して、 現地の保健省の高官や医療関係者を日本に招き、技術普及のための研修を実施しました。また現地に日本人専門家を派遣し、医療関係者をあつめたセミナーなどを 実施しました。こうした活動を通じて、日本の医療技術は現地で採用されることになり、当該メーカーの医療機器の信頼性が現地で高まることになりました。

SDGsによる企業価値の向上

 SDGsをツールとして活用することで、日本企業のCSV事業が開発途上国の社会・経済問題の解決に取り組み、現地の大きなBOP市場を取り込むことが 可能になります。これが実現すれば、CSV事業は本業の中で主流化が進み、企業の経営計画の中で戦略的に位置付けられることとなります。
 開発途上国の社会・経済問題に取り組む事業は、持続可能性が極めて高いです。中長期的に大きなビジネスの機会を創出します。当該企業が自社のSDGsを 達成する上でも、大きな貢献になります。サステナビリティレポートの中で、CSV事業とSDGs達成との関係を明確に示すことで、 企業価値を向上させることが可能となります。将来的に企業価値の向上が見込まれる企業として、投資家から評価されることに繋がります。

SDGs室ができること

 国際開発センターは、国際協力専門のコンサルタントとして40年の歴史があり、80名の地域・セクター専門家を擁しています。 常時、数多くの開発途上国において調査研究業務を進めており、現地の行政府の中に入って開発プロジェクトを実施している職員も多いです。 当該国の行政の仕組みに精通し、各国で幅広いネットワークを構築しています。主要国では開発政策やSDGs行動計画策定の進捗を把握しています。 開発途上国における日本企業のCSV事業を、現地のSDGs行動計画の中で的確に位置づけ、事業の普及に向けて相手国政府側との協議を調整できます。 国際協力機構(JICA)の民間連携型事業の実施経験も豊富であり、その実施を通じて現地政府との調整を進めることにも長けています。
 また、国際開発センターは日本評価学会の発足当初から事務局を務めており、学会認定の評価士の養成講座を運営しています。そのため、 研究員の多くは評価士の資格を有しています。CSV事業のSDGs貢献の可能性を論理的に説明し、実施に際して的確にモニタリング・評価してゆくには、 評価士としての知見と経験が不可欠です。SDGs室はCSV事業のインパクト評価を設計し、モニタリング・評価を実施することができます。
 また、CSV事業の本業化に伴い、これを企業のサステナビリティレポートの中で位置づける際にも、お手伝いできます。GRI スタンダードに準拠した形で、 サステナビリティレポートにCSV事業を的確に位置付けることができます。

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