ODA研究グループが「ODAへの提言」を発表しました

 1990年代、日本は世界のトップドナーでしたが、以来、日本のODA は大きく減少しました。現在、ODA をさらに削減すべきという意見と、ODAの役割を積極的に捉えなおそうという動きが見られます。ODA の中長期的な展望は不透明ですが、今後、ODA のさらなる質の向上が求められることは間違いありません。そこで、私たち「ODA研究グループ」ではODA の現場で活動してきたコンサルタントとしてODA の改善策について検討し、その結果を「ODAへの提言」としてとりまとめました。要約を以下に示しますが、是非とも全文をダウンロードのうえご一読下さい。日本にとって大切なODAのさらなる改善に少しでも貢献できますとたいへん嬉しく思います。なお、本提言はその作成にかかわった一部職員の考えを示すもので、(一財)国際開発センターおよび(株)国際開発センターの意見を示すものではないことにご留意ください。


「ODAへの提言」には数多くのコメントを頂きました。どうもありがとうございます。頂いたコメントの一部をご紹介します。大勢の方から、提言するだけでなく、その実現を図っていくことが重要とのご指摘を受けました。関係する機関のご協力も得ながら、提言した内容が少しでも実現されるよう活動を進めてまいります。
要 約
 日本のODA は過去10 年間で半減したが、現在、ODA をさらに削減すべきという意見と、ODAの役割を積極的に捉えなおそうという相反する動きがある。ODA の中長期的な展望は不透明だが、今後、ODA のさらなる質の向上が求められることは間違いない。ODA の現場で活動してきたコンサルタントとしてODA の改善策について考えてみた。

現状認識
 ODA は1)経済成長の潜在力に恵まれた国々への支援を通じての新興国の出現、2)最貧国の安定と民主主義的発展という国際社会全体の課題への対応、3)非軍事的方法を通じての平和回復、などに貢献してきた。他方、ODA は現在の世界情勢の中で、1)総花的援助からの脱却が不十分、2)援助対象国の選定に際して日本にとっての重要性が十分に反映されていない、3)国内の人材を生かしきれていない、などの課題を抱えている。

ODA 総論
 国際協力は日本人と日本経済への信頼の礎であり、ODA 拠出額よりも内容を重視し、内容が良く必要なものは援助を継続して実施すべきである。また「選択と集中」は積極的に推進すべきだが、その方針を明らかにするとともに、日本と関係の深いアジア諸国には一定の支援を継続すべきである。重点国・分野には長期間の支援をコミットし、計画作りから関与することが求められる。日本の強みを生かしたインフラや人づくりへの支援が重要であり、また、援助専門機関だけでなく様々な分野や地域の団体・人々の活躍による国際協力(国民参加型協力)が望まれる。
 ODA の政策、計画、実施体制については、現場主義のさらなる推進、相手国の開発計画と連動した援助計画の策定、ODA 事業の具体化と実施手続きにかかるスリム化、国際協力に参加する様々な団体・人々への援助専門機関による支援、ノレッジマネジメントの改善、さらなる情報公開などが求められる。

ODA 各論
 技術協力の実施にあたっては、アウトカムに基づく専門家・コンサルタントの評価、個々のプロジェクトの概要を取りまとめたロジカルフレームワークの使い方の見直し、様々なプレイヤーの長所を生かした協力などが求められる。ODA の評価については、外務省、JICAの役割分担に沿った見直し、計画策定や案件形成につながるような評価の実施などが求められる。また、途上国職員の計画立案・実施能力の向上に向けていわゆる「ブロックグラント型支援」の有効活用および援助国間の協調への積極的な参画が望まれる。最後に、援助業務の発注・管理の再整理として事務的業務の軽減、ランプサム契約の導入、プロジェクト文書の英語あるいは現地語への一本化、相手国側の政府関係者や受益者の視点を考慮したコンサルタントの評価などが求められる。